過去を抹殺しない限り話手の意識のなかに入ることはできない.歴史の介入は,かれの判断を狂わすだけである.

ソシュールの『一般言語学講義』に卓見と思われる文章があったので、ここに記します。

§2. 内的二面性と言語学史

 言語事象を研究してまずおどろくことは,話手にとっては,時間におけるそれらの継起は存在しないということである: 眼のまえにあるのは状態である. それゆえこの状態を理解しようとおもう言語学者は,それをうみだしたものを一掃し,通時態を無視すべきである.過去を抹殺しない限り話手の意識のなかに入ることはできない.歴史の介入は,かれの判断を狂わすだけである.アルプスの全景を画こうとて,ジュラの諸峰から同時に見渡したところで,意味をなさない.全景は,ただの一点から画くべきである.言語にしても同然である: ある一つの状態に身をすえないでは,これを記述することも,使用の規範を定めることもできない.言語学者が言語の進化を追求するときは,さながら眺望のずれをしるそうとて,ジュラ山脈を一端から他端へ移動する観察者に似ている.


ソシュール『一般言語学講義』115ページ、第?編一般原理 第3章静態言語学と進化言語学 から抜粋

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Mac も同じと考えます。Leopard を利用するMacユーザの意識にとって、OS 10.3だの、OS 9だの、漢字Talkだの、関係がない。上記のソシュールのことばはいろいろな場面に応用できると思います。


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