「Web 2.0」ということばが世に現れてずいぶん経ちました。ウェブを日常的に使っている人はみな Web 2.0 時代に生きていると言っても言い過ぎではないと思います。すくなくとも Web 2.0 的なサービスを享受しています。ここで、Web 1.0、2.0 についてざっくりと振り返ってみたいと思います。
Web 1.0 とは何でしょうか? 知りたい事柄について、ヤフー!を訪れ検索していた時代です。たとえば「京都の川床でおいしいご飯を食べたい」とすると、 ヤフー! のサイトに行って、日本→関西→京都府→京都市→食事 などとディレクトリ構造のなかから情報を手に入れていた時代です。いまでもあるけれど、少しオールドスタイルですよね。Web 2.0 とは質的に異なるウェブのあり方であると、反語的にいうこともできます。
アップルは今年1月、スペシャルイベントを開き、iPad を発表しました。その際にスティーブ・ジョブズさんから「Apple自身をモバイル機器会社だと考えている」という発言がありましたが、これは Web 3.0 への進化を考えれば、まったくもって自然なことであるとボクは受け止めました。
この発言に対して激しい拒否反応を示したアップルユーザもいますが、べつにデスクトップの Mac Pro や iMac をアップルがやめてしまうという訳ではありません。ウェブの世界はモバイルに向かっているという明白な予測/事実に基づき、アップルはそう述べました。べつに突飛な発言でもなんでもありません。またほかのコンピュータメーカーもまたモバイルが重要であると考えているのは、普段からIT関連のニュースを見ていれば明らかなことです。
ここで、インターネット進化の3段階を図式化してみました。下の通りです。
ボクはアップルファンであるため、アップル製品をこの図に用いましたが、他の会社にとっても同じ図式を描くことができます。デスクトップからクラウドへ、そしてモバイル+セマンテックというウェブ進化の流れは、アップルにとっても、他社にとっても変わりはありません。この進化の中で、コンピュータに物理的なキーボードはなくなります。iPhone や iPad、あるいは Google の Nexus One にバーチャルキーボードが搭載されているのはまた必然です。(iPadのキーボードドックは進化の過程の副産物のようなものです)
また同時に使っているうちに iPad が弱い部分もわかりました。これはボクの個人的な印象なのですが、クラウドによるサービスが iPad には欠けていると感じました。iPad は、もっとネットのサービスと融合していいでしょう。たとえばMobileMe。これはiPad利用者はすべて自由に使えるようにすべきではないでしょうか。ボクは MobileMe を購入して使っていますが、なくてはならないサービスです。自宅にある Mac 3台、iPhone 1台、iPad 1台、会社の Windows PC 1台。これらが簡単にデータの同期ができる。こんなにありがたいものはありません。
いっぽう Google は無料でそのようなサービスを提供しています。これはアップルにとっては不利な点ではないだろうか、と感じています。さいきんMobileMe が無料になるかもしれないという噂が出ています。噂ですから話半分で聞いていればいいのですが、ボク自身はぜひとも無料にすべきだ、と考えています。とりわけMobileMeの基本的な部分(住所録、ブックマーク、カレンダの同期)については、ユーザに無償提供して Google に対する競争力をつけるべきだと感じています。
iPadにはマイクが内蔵されています。いまのところ、iPhoneについている録音アプリは標準では搭載されていません。しかし、Web 3.0 時代において Siri 社のようなセマンティック的な機能を使うためには、マイクがなければなりません。アップルは将来そこを見据えているからマイクをつけているのだとボクは考えています。